鮭が帰る町、根室管内標津町。
 町を流れる忠類川は、日本で初めてサーモンフィッシングが解禁されたサケのふるさとだ。
 この町で生まれ育った福岡さんにとって、幼い頃、冬のおやつといえば、鮭の飯寿しが定番だった。
「おばあちゃんが毎年漬けてくれる鮭の飯寿しがおいしくて。年の暮れから食卓に上がるそれが、待ち遠しかった程です」。
 高校卒業後、進学のために町を離れて小学校の先生となり、着任した羅臼町で数年後に結婚。現在は10歳と9歳の子育てに追われながらも、地元羅臼の保育園と小学校で臨時勤務を続けている。
「ずっと鮭の飯寿しは好物なんですけれど、なかなか自分で作る自信がなくて。実は、買って食べていたんですよ」。
 それが4年前、近所に住む若い主婦が自分で飯寿しを漬けると聞き、教わってみた。
「主人と子供たちが大喜びしてくれて…」以来、福岡家のお正月料理にお母さんの鮭飯寿しが加わった。
 今年も漬け込む季節が到来。いつものように、スーパーのセール目がけて飯寿し用の紅鮭を買いに行き、下ごしらえを済ませた。
 沢庵や魚漬けをはじめ、漬物の作り方には、土地土地や作り手の個性があるものだ。
あゆみさん流の『鮭の飯寿し』は、重しの増やし方に独特のこだわりが感じられる。
【あゆみさん流 鮭の飯寿し】
●材料
・塩紅鮭 3本
(3枚におろして一口大に切り、薄い酢水に3〜40分浸したらザルに上げて水気をよく切っておく)
・キャベツ 大1個(ざく切り)
・ニンジン 大1本(短冊切り)
・大根 中2本(短冊切り)
・生姜 大1かけ(千切り)
★(・ごはん5合…人肌に冷ます・コウジ…200g・砂糖…1kg・酒…180cc・酢…1リットル・みりん少々)
●作り方
1 材料を切る。
2 ★をすべて混ぜ合わせる。
3 野菜、鮭、★の順に重ね合わせる。
4 フタをして3日間位、日陰の涼しい場所に置く。
5《こだわりの重し》
  漬けて3日目位、3キロの重しをする。
  漬けて1週間、5キロの重しを足す(計8キロ)。
  漬けて2週間、5キロの重しを足す(計13キロ)。
  漬けて3週間、5〜8キロ足す(合計18〜21キロ)。
  ※鮭と野菜の量で若干変わるため、
   最後に足す重しで調整します。
6 漬けて4週間たったら、樽を逆さまにして水を切り、
  出来上がり。
※木製の飯寿し専用樽の場合、これで完成。
プラスチック製の一般的な漬物樽で作る場合は、最初に漬物用ビニール袋を敷いて漬け込み、溜まった水は古いタオルや古着などを詰めて除くといい。
 取材中に、面白い話を聞いた。
 標津町出身のあゆみさんのおやつが、鮭の飯寿しだったのに対して、羅臼町で生まれたあゆみさんの長女・楓(かえで)ちゃん(9歳)は、味付けこんぶ(短冊形のおしゃぶり昆布)に、はまっているという。
 自分のお小遣いで近くの水産会社直売店に買いに行くほどだそうだ。「とにかく大好き。いつもは315円の小箱なんですが、お金が貯まると徳用大箱(340g・2100円)にして、嬉しそうに食べています」。
 さっそく、そのお店、惣万水産へ行ってみた。
応対してくれた惣万社長は、羅臼町出身の52歳。
 地元で採れる通称オニコンブにこだわった商品加工に力を注いでいる。
 創業当初は、加工専門の工場だったが、食べた知人らから「おいしいよ」のクチコミが広がって評判を呼び、直売店を始めた。観光客からの要望が増えて通販も始めた。いまでは、ホームページも作って商品紹介や昆布の上手な使い方など、きめ細かく掲載している。
 また、「羅臼の魚も欲しい」の声に応えて、商品ラインナップも増えている。
 羅臼でとれる海の幸は、道東でも高く評価されている。その地物にこだわり、生かす商品作りへの惣万社長の思い入れは熱い。
 ぜひ、ホームページを覗いて見て欲しい。(http://e-okobu.com/)天然昆布と養殖昆布の使い分けや、おいしいダシの取り方など台所直結のタメになる情報も多い。
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