茶道裏千家今日庵 正教授 足立宗充さん
 えぷろん創刊から、三度目の新年を迎えます。
 昨年に続いて、1月号の表紙は年頭にふさわしく、和装で立ち働く地元女性にご登場いただきました。
 2008年もまた、えぷろん本紙ならびに、えぷろんねっとをご愛読くださるみなさまにとって実り豊かな明るい一年となりますことをお祈りいたします。
 茶名、宗充(そうじゅ)。その茶道歴は半世紀に近く、平成10年には裏千家今日庵より正教授の資格を受けている。
「授与式に上京して、明治神宮を参拝したときは身の引き締まる思いがしました。今も大きな励みになってますよ」と、感慨深く話す。
 根室市の中心街で6人兄弟の5番目に生まれた。娘時代から興味を抱いていた華道、茶道は「お勤めに出てから始めたの。教えてくださる方が近くにいらしたのが幸いでした」と、振り返る。
 先に始めた華道も竹真流教授となり、楽川斉の門標を得ている。
 色白で柔らかな表情、お茶目な一面も併せ持つ若々しい足立さんが、3時間ほどのインタビュー中にただ一度眉を曇らせたのは、痛めている膝に話が及んだときだった。
「5年前に半月板損傷と関節変形症になりました。札幌の大学病院に通って随分と治療したけれど、とうとう長い正座が無理になってしまって。もう正式なお茶会には列席できないの。切ないわねぇ」と、肩を落とした。長年の修業が足に負担をかけたのか、皮肉な致命傷である。
 とはいえ、地元根室での活動は変わりない。お弟子さん15名と週三回の自宅教室、月3〜4回は根室高校茶道部へ出稽古に赴く。平成17年には、20年以上に亘る学校茶道への貢献を称えられて表彰された。
 その根室高校茶道部でのお稽古を拝見させてもらった。
 部員16名。全員が高校入学後に茶の湯に親しんだという現代娘たちが、整列してじっと足立さんの手元を凝視している。静寂だが重苦しさを感じない理由の一つを、足立さんの手に感じたといったら、おかしいだろうか。
 小さくてふっくらとして丸い手。「固くならなくていいのよ」と、場の空気を和ませる暖かさを漂わせていた。介添えする愛弟子、宗穂(そうすい)さんのたたずまいもまた同様に穏やかで温かい。
 1年生部員に感想を聞いてみた。
「細かな作法を覚えるのは難しいけれど、先輩たちがやさしくて楽しい」と、笑顔で答えてくれた。
 「和敬静寂」
亭主と客の間に通う人間的なぬくもりを表すこのことばが、茶道の本質だと聞いた。淡々と、茶の道を歩んできた宗充さんの今の姿が、その心を体現しているのだなと、素養のない記者にも伝わってきた。
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