「幸せって何だろう」。旅先のカプリ島(イタリア)でしみじみ考えた日から10年後の2007年3月、竹内さんは故郷根室でワインバーを開店させた。
 彼女は、日本最東端のソムリエール(女性ソムリエ)。
 ワインブームに乗って、道東のホテルやレストランにもソムリエが続々と登場してきた。けれど、彼女のように本場へ海外留学して資格を取得した話はそう聞かない。
 8年前。留学先はイタリア、ローマ。語学学校に通いながら、マスターコースまでを2年3ヶ月間という異例のスピードで修了した。
「スタートは遅いし(当時39歳)、お金に余裕はないし。頼み込んでね、はは」と明るく笑い飛ばすが、容易でないことは想像がつく。



 高校卒業後、上京。「大好きなロックアーチストの来日ライブが見たくて東京へ進学しました。親不孝な話です(笑)」。とらばーゆを愛読書に進路に迷った20代後半、アスファルトジャングルに疲れて北欧で働いた30代半ばを経て、根室に戻って英会話講師を始めた。
 3年後、ミレニアムに沸く99年暮れに参加したツアーが、彼女に一大決心をさせることとなる。
 トスカーナ(イタリア)でイタリア文化と料理を学ぶ旅から帰ると、すぐに留学を準備、渡欧した。かつての北欧行きも同地を旅行中に決断し、帰国前に働き口を見つけたくらい、決断イコール実行の人なのだ。


 彼女のブログ(※アドレス下記参照)を読み進むと、根っからのお酒好きで食通であることがよく分かる。美味しく飲んで食べることを、こよなく愛する。蘊蓄は二の次でいい、と言う。お店をバーでなくハウスと名付けたのも、
「ワインをもっと身近に感じてほしい。そして、自宅で飲むようにくつろいでほしい」という思いから。グラスワイン600円〜、モッツァレラ100%のピザ(ハーフ)700円など、お値段も家庭的。ワイン好きも初めての人も、気取らず楽しく飲めるカジュアルなお店だ。

「ワインの価格は、個性に払う代価のようなもの。TPOに応じて選べばいいし、それもワインの醍醐味のひとつ。賑やかなパーティーには重厚な高級品より、ライトな飲み口の安いものが合うようにね」。
 陽気で気さくな竹内さんだが、必要以上にはお客様に語りかけない。会話の邪魔にならないように、つかず離れずで控えている。流れるBGMは、ソフトジャズ、ボサノバ、ラテンなど、その夜のお客様の雰囲気でセレクトする。
 ブドウの品種、収穫年、国、産地、生産者など。ワインほど複雑で多種多様なお酒はない。また、たとえ銘柄や生産者が同じでも、年ごとに味わいは変わる。
 竹内さんが生まれた1961年は、ワインの当たり年だと聞いた。ボルドーに至ってはグレード・ヴィンテージになっているという。
 生まれ年のワインで誕生日を乾杯するなんて、素敵なプレゼントになりそうだ。サリーのセラーには、1988年のワインが眠っている。今年、成人を迎える子どもがいたら、祝杯をここで、このワインでいかがだろう。我が息子は21歳。出合うのが一年遅くて本当に残念だ。
根室市緑町1丁目1番地 グリーンビル2F
TEL0153−24−8470
【営業】18時30分〜23時30分 日曜定休

チャージ(グリッシーニ付)500円
葡萄に由来する飲み物各種(ソフトドリンクあり)
ジョーのオリジナルパン200円、
厳選オーガニックチーズ各種800円〜
モッツァレラ100%ピザ700円〜など。

「極東のノムリエ日記」http://ameblo.jp/sommelier
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