2010年8月号 vol.59
第23回のターゲットは、
『ふしぎヒコーキ・インストラクター』飯島実さん

「子どもたちとゆっくりワークショップができたらいいな」
過去の根ほり葉ほり(第22回〜第21回)
独特の色づけと焼成でレトロ感を表現したランプシェード。
中標津の「俵真布」(中標津町東1条北1丁目16)で浅沼さんのたくさんの作品に出会うことができる。
「若い人たちの意見を参考」にして
作ったヘアアクセサリー。
浅沼さんの予想を反して、好評と笑う。
硝子の切り口が不思議な
やわらかさを見せてくれる。
クマザサ、キツネの絵を描いて
焼成した作品。
面ごとに違う風景が描かれている。
星と月は浅沼さんの作品に
欠かせない表現。
2010年7月号 vol.58
第22回のターゲットは、
『ステンドグラス工房 知床硝子』主宰、
ステンドグラス作家の浅沼久美子さんです。
(羅臼町)

「地味で目立たない小さな花や、星に惹かれてしまいます」

硝子が見せてくれる表情が
作品のイメージを広げてくれます
 浅沼さんの作品を見ると、「これがステンドグラス?」と疑問符を投げかける人も多いと言います。取材に訪れたギャラリーに並ぶのは、優しい色合いと曲面、曲線で作られた、一見して硝子とは思えないほど柔らかな印象を与えてくれる作品たち。
「800度の熱で焼くと、硝子の切り口も溶けて、滑らかになるんです。角が取れて、まぁるくなります(笑)」
 作品の中には色や風合いの違う硝子を何枚か重ねて焼成したものや、絵筆で塗料を塗り模様を浮き出させたものなど、一枚一枚の硝子の個性を活かしながら組合せたものも多くあります。
「いろいろな手法を試してみたくてあれこれと作っているうちに、硝子が教えてくれるんですよね。『こんな方法もあるよ』って」
 浅沼さんの作品を見ていると、硝子はとても温かく柔らかく、そして自由なものだということがわかります。浅沼さんの笑顔がそうであるように。

人にも自然にも、生徒さんにも
教えてもらっています
 苫小牧市出身の浅沼さんが硝子に出会ったのは30歳。もともと油絵を描き、公募展に何度も入選したこともあるほどでした。
多面を利用して光を通すことで模様が
浮き出て、壁にやさしい表情が生まれる。
「何かもっと自分に合うものがあるのではないか…と感じていた時に、友人にステンドグラスの先生を紹介してもらったんです。あ、これかもしれない…漠然と感じましたね」
 現在は、工房をもち、羅臼町と中標津町の教室で教える立場でもあります。
 浅沼さんの作品のモチーフは、犬や猫、野生の小動物たち、ひっそりと風に揺れる草木。どこかで見た自然が息づいています。そして笑顔のように並ぶ星と月。
「歩いている時、ぼんやり窓の外を眺めている時、小さな自然が歩み寄ってくれて、存在を主張します。雑草と思われる草でもきれいな花を咲かせ、季節と共に自然の営みを見せてくれる、それをときどき作品に入れています」
 だから、浅沼さんの作品を見ていると、ほっと安心できるのかも知れません。
「ステンドグラスの生徒さんに教えてもらうことも多いですね。若い人の感性、感覚はやっぱりすごい。人にも自然にも、いつもいつも教えてもらっています」
 そう笑顔でしめくくった浅沼さん。作品にふれると、ほんわりと温かい、浅沼さんの温度が伝わるようです。
楕円形の小物入れ。
入れるもので器の表情も変わりそう。
野に咲く小さな花が
存在感を主張しているような作品。
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オーナーの佐伯雅視さん。
「中標津はブランド力が高い。それをどう生かしていくかが大事。自分のまちを元気にするために頑張っていかないと」と話す。
「レストラン牧舎」では中標津の牛乳を使った牛乳豆腐の牧舎カレー「カッテージカレー」や、天然酵母の手づくりパンなどが楽しめる。
「レストラン牧舎」にもステンドグラスをはじめ、地元作家のさまざまなアートを展示。
佐伯農場
標津郡中標津町字俣落2000−2
電話0153‐73‐7107
レストラン牧舎
電話0153‐73‐7151
営/10時〜17時
4月中旬〜11月上旬までの営業
2010年6月号 vol.57
第21回のターゲットは、
『佐伯農場』の佐伯雅視さん(中標津町)

「人間は信じるべきもの。人との付き合いって大切だよね。」

アートと触れあうことで心にゆとりが生まれる。
 中標津町俣落にはのんびりとした、そしてダイナミックな農村の風景が広がります。「佐伯農場」の100ヘクタールの敷地の中にはレストラン、版画美術館や写真館、ギャラリー倉庫、野外アートなどが点在しています。
 オーナーの佐伯雅視さんが5歳の時、一家で岡山から移住。先代の柾次さんがここで酪農業を始めました。37年前からは東京近郊の子どもたちを対象とした夏キャンプ「むそう村」の受け入れもしています。
「30年ほど前から牛乳の消費が伸び悩み、乳製品の製造などでなんとか消費拡大につなげようと、酪農家グループで始めたのがレストラン『牧舎』。今は娘2人が運営しています。天然酵母のパンも焼いていてね、去年の秋にはセルフのパンスタンドも作ったんですよ」と佐伯さん。
小径を挟んだレストランの向かいにある「荒川版画美術館」では中標津ゆかりの作家による作品を展示。また、中標津市街の「東一条ギャラリー」でも道東の作家の作品を展示するなど、若手作家の支援にも取り組んでいます。
「アートって、なくても生きていけるものですよね。でもアートと触れることで心のゆとりを得られる。そこから社会や人のことを考えたりできるようになるんじゃないかな」
「荒川版画美術館」は古いサイロを再利用。名前は牧場内を流れる「荒川」にちなんだ。 中標津市街にあるアートとクラフト天然酵母パンの店「俵真布」。2階は「東一条ギャラリー」。パンはパン屋さんで、アートはギャラリーで、それぞれに楽しんでほしいと佐伯さんは話す。
農場を背景に地元の魅力を発信。
 「セルフのパンスタンドはね、毎日のようにお客さまが来てくれて人気なんです。パンは1個一律150円。でも誰もごまかしたりしないですよ」と笑顔の佐伯さん。「人間は信じるべきもの」と言います。昨今のどこかギスギスした人間関係や社会も、互いの信頼が薄れてきているからではないかと話します。「心のゆとり」を大事に、「信じる」ことを当たり前のように捉える佐伯さんの考え方がこのパンスタンドにも投影されているのかもしれません。
「人との付き合いって大切だよね。僕だって人付き合いがなかったら、こんな発想はできなかったと思うんですよ。『自分にとって大事なものを人からいただく』という気持ちが、よりよいアイデアにつながっていくのではと思っています」
 基本は農業。農場をバックグラウンドに農業の大切さ、そして中標津町の魅力も発信し続ける佐伯農場。このゆったりとした農村風景の中で味わう料理やアートは、心に温かく豊かに響いてきます。
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